初 診 | X年10月 |
---|---|
主 訴 | 疲労感 |
診 断 | 特記事項なし |
既往歴 | アレルギー |
社会歴 | |
現病歴 | 最近2ヶ月ほど汗が止まらず衣類が濡れて困っている。 |
患者さんは大手衣料品メーカーの店長を勤めています。
患者が勤務する職場はターミナル駅の百貨店ということもあり、一日中ずっと人が出入りするような環境のため空調が強くかけられているそうです。
大学生の頃からこの仕事に就いているそうですが、寒暖差や埃などの影響は大きく、その他にも通年で販促の準備などにより遅くに帰宅することや夕食を寝る前に摂るという生活が続いていました。
X年10月に初めて来院した時、主訴は頸肩凝りでしたが、頸と肩に問題があるということではなく、逆上せていたり、扁桃が腫れていたりということがきっかけだと伝えました。
その後、それらの問題は鍼灸と漢方で回復したのですが、まだ寒い時期に販促用の春夏服を着用し始めた頃から体調を崩しはじめて汗の訴えが出るように。
【まとめ】
汗は体温を調整したり、皮膚を潤したり、老廃物を捨てるなどの作用があります。
動いたり、辛い物を食べたり、暑い気候、重ね着、精神緊張などで出る汗は生理現象とされます。
今回の発汗はこれらに当てはまることはなく、東洋医学ではこのように考えます。
それは【有汗】。有汗とは汗が出るべきではないのに汗をかいたり出汗の多いものです。
今回の症例は「自汗」という裏証有汗が当てはまるのですが、その特徴は日中に汗が出て止まらず、動くとひどくなるということ(気虚・陽虚でみられる)。
※その他:盗汗、大汗、絶汗、戦汗などがあります。
しかし、全身や身体の一部が出汗するはずなのに汗が出なかったり、汗が出るはずないのに多く出てしまう場合あり病理現象だと考えます。
そのため東洋医学では、発汗異常に関しての情報として、発汗する時刻、部位、量、主な随伴症状などを質問しなければ具体的な状態を分析できません。
患者は職場の環境を考えたときに冷房と床の冷えを受けることで足下に冷気をまとい畏冷、肢冷(手足が冷たい)など、陽気不足の症状を伴うことになっていたのだと思います。
これらの情報をもとに『蘭江賦』の考えから合谷と復溜を選択して施術をおこないました。
そして施術翌日に汗は止まり、生理も始まったそうです。
そして、あの日から不快感はなくなり仕事ができているそうです。
同じような悩みを抱えている方は多いことでしょう。
その場合にはぜひ鍼灸を選択してください。