二人目不妊に悩む幼稚園教諭

不妊治療

2021年10月17日
市川市妙典  K.U  (女性)  幼稚園教諭  30歳
初 診 X年5月
主 訴 2人目不妊
診 断
既往歴 虫垂炎、子宮頸がん
社会歴 幼稚園教諭
現病歴 X年4月に結婚、その後出産。 その後3~4年間空けて二人目の妊娠を希望するが4度流産を経験。 そして検診で子宮頸ガンが発見されてX年6月に切除手術を受ける。 不妊の原因は分かっておらず、これまでにおこなった治療はタイミング10回、AIH4回、IVF2回。 X年1月に採卵(採集数6,受精数5, グレードA,B ,8分割)をおこない、同年3,4月に移植したが着床はしていない。 現在はジュリナ錠とエストラーナテープを処方されており今月移植する予定である。 現症:脉弦、左尺虚、舌淡胖大、薄白苔、舌尖紅

施術・経過

背景

考察

患者は幼稚園教諭として常勤で働いており、家族の関係は良好で子どもへのストレスは感じていないといいます。患者にとっての不安やストレスは妊娠したとしても再び流産するのではないかという不安や心配でした。
1人目を28歳の時に自然に妊娠したことで、2人目も自然に妊娠すると思っていたものの1年半が経過しても妊娠することなく焦り始め、そして過去4度の流産により心身ともに疲労が溜まり始めていました。
背中の緊張は仕事の影響も考えられますが、この場合には神経衰弱や虚労との関係が深いことが考えられます。そのため扁桃処置をおこない生体の防御機構の賦活を図りました。
また、低体温や手足の冷えや肩こりに対して骨盤虚血処置を加えることで骨盤内の血流量増加を目的に施術。2回目には頸部や背中の緊張は改善。
しかし脉については緊張が取りきれてはいないため自律神経性へアプローチ。
3回目は戻した卵が安定するように婦人科の力を補う目的でツボを選穴。
今日までの施術で体質はだいぶ変わっており脉も強くなっています。
その後、自宅で妊娠検査をおこなったところ陽性反応がでました。
そして病院で検査をおこない妊娠していることが分かりました。
このように鍼灸をおこなうことでスムーズに妊娠することは少なくありません。
しかし、治療を行わずに会話だけで妊娠に至ることもあります。
その理由は、不妊という結果ではなく抱えている何らかの原因が負のスパイラルを生じさせているからだと考えられます。

今回、施術をおこなう中で分かったことは「不安」というキーワードでした。
それが身体に緊張というサインとして現しており、交感神経を優位にしていたために頸部の痛みや冷えを生んでいたことになります。

4回流産したのだから5回目もあり得る。
心のケアと同時に虚労へのアプローチとして膏肓、足三里のお灸や漢方を取り入れたことも大きいと思います。
不妊に対しての施術効果は妊娠と直結しなくとも、子宮内膜の厚さ、卵子の質に現れます。ドクターはそのことに驚かれますが、鍼灸や漢方は心身一体的な健康アプローチとして加齢やストレスなどに有効な方法です。
今回の施術では、そのことがよくわかる症例でした。

施術プラン:妊活鍼灸(担当 藤田)