腰痛を和らげる方法として【市川市の鍼灸院|カラダノミカタ】

2024年1月19日

腰痛(慢性腰痛症)

腰痛

はじめに

腰痛は一生のうち約80%の人が経験するといわれているくらい、頻度の高い症状です。2007年の「国民衛生の動向」によると、日本における腰痛の有訴者は人口1千人に対し95.4人で、腰痛は最も多い愁訴でした。
また腰痛症のために通院している患者は人口1千人に対し44.5人で、高血圧症に次いで多いとされています。
また腰痛治療を受けている施設としては、あん摩、鍼、灸、柔道整復など病院以外の施設の合計が全体の37%と最も多い。

腰痛は急性腰痛慢性腰痛の2つに分けられます。
急性腰痛は、3か月以内に生じた腰痛または腰椎に由来する下肢症状により活動できない状態と定義されています。
3か月以上持続する腰痛を慢性腰痛とします。慢性腰痛は器質的な異常がなくても存在し、心因的な要素が強いと考えられています。

診察

1)椎間板の変性、脊椎の変性や構築異常、腰部外傷の後遺症や内臓疾患からの関連痛などから慢性的な腰痛を訴える。

鑑別

筋・筋膜性腰痛
第3腰椎高の起立筋外縁部の疼痛、圧痛、前屈、健側屈曲時に増強。後屈時に軽減あるいは消失。

椎間関節性腰痛
腰椎の進展姿勢で増強。前屈時軽減あるいは消失。関節部に一致する圧痛。特定部位の自発痛。

腰椎分離症
立位運動時に徐々に増悪。安静時軽減あるいは消失。少年期は辷り症に移行しやすく注意を要する。

椎間板性腰痛
過度の緊張下に、立位、坐位をとった瞬間に疝痛様の激痛を5~10秒程度感じる。緩解後は自・他覚的所見なし。しばしば臀部から大腿への放散痛をみる。

いわゆる腰痛症
圧痛、自発痛、運動痛を訴え、原因をとらえ難い漠然とした腰痛。

変形性腰椎症
初期症状として、動作の始めに腰痛があり、しばらく動いていると緩解する。


鍼灸の効果のよい症状

器質的変化のないもの、あるいは少ないものはおおむね良好である。
※器質的:骨折・骨の変形など

効果のよくない症状

1)腰椎分離症など器質的変化のあるもの
2)内臓疾患からの関連痛によるもの(慢性腎臓疾患、癌など)。

鍼灸治療について

1)予防が大切である(適当な運動、体操により筋肉を増強する)。
2)内臓の関連痛の場合は原疾患に重点をおいて治療する。
3)起立筋の緊張、圧痛に対して背部兪穴の反応部に、置鍼、直流電気鍼、低周波置鍼法、灸頭鍼、知熱灸などを施す。
4)腹部の緊張、反応部にも刺鍼、施灸する。


鍼灸学校の学生に向けて

ここからは鍼灸学校に通う学生、初学者に向けて資料をまとめてあります。
参考になれば幸いです。

医師薬出版株式会社 「鍼灸臨床マニュアル 第2版」 北村智・森川和宥

ブリッジ姿勢で痛む
膏兪・帯脈・中極

下肢伸展挙上で痛む
・下肢伸展挙上をおこなった状態での承扶・殷門・委上穴への速刺速抜
・居髎あるいは髀関

起立前屈痛
痛む姿勢で
・局所の圧痛点に速刺速抜
・局所は皮透刺も効果的である
・承扶・殷門・委上穴への速刺速抜
・飛陽・跗陽付近の反応部に弱い雀啄術

医道の日本社 「診察法と治療法」 出端昭男

椎間型腰痛
患者がヤコビー氏線より下方に痛みを訴え、圧痛がL4、L5椎間部に検出される場合は椎間関節性腰痛が推定されるので、これを「椎間型」と呼ぶことにします。

圧痛はL5椎間のみのこともあればL4、L5ともに陽性のこともあります。L4のみのケースはまれで最も多いタイプはL4、L5椎間型です(腰痛患者の7割近く)。
椎間型腰痛の時にしばしば圧痛の検出される陽関と十七椎、それにL4、L5椎間の位置です。
L4椎体の位置は陽関の外方、L5椎関は十七対の外方それぞれ2㎝の部位にあります。
そのほかこのタイプの腰痛に対して用いる治療点は、L5棘突起の外方で腸骨稜の上縁(関元兪の上外方にあたるので「外関元」と呼ぶ)、また痛みが臀部まで放散するものでは上後腸骨棘外縁の上胞膏、および上臀部皮神経領域の上臀などを調べ、圧痛が検出されれば取穴します。
上臀の位置は、腸骨稜の最も高い位置を下方に3~4横指下った部位を目やすとし圧痛を検索します。
椎間型腰痛では十七椎にも圧痛が現れることがあります。圧痛の著明な場合には十七椎も加えておきます。
陽関に圧痛のみられることもありますが、十七椎に比べると陽性率は低く、用いる頻度も多くありません。

手技はすべて置針で置針時間は通常15分間としますが、ギックリ腰の新鮮例(発生して1~2日)では5~10分間でスタートし、経過をみながら15分間にします。
灸を用いる場合は、以上の刺針点に糸状灸を3壮おこないます。
治療穴:陽関・十七椎・L4椎間・L5椎間・外関元・上胞肓・上殿

筋・筋膜性腰痛
患者の指摘する疼痛部位がヤコビー氏線より上方で最長筋や腸肋筋部、または殿筋部や外腹斜筋部にあり、当該筋肉部に著明な圧痛や硬結を認めた場合は筋・筋膜性腰痛が推定されるので、これを「筋・筋膜性腰痛」と呼びます。圧痛は腎兪や志室を中心としてその上下に検出されるものが大部分です。
治療穴:陽関・十七椎・L4椎間・L5椎間・外関元・上胞肓・上殿

棘間型腰痛
下位腰椎の正中を中心に痛みを訴え、圧痛が陽関や十七椎に現れ、しかもL4椎関やL5椎関に圧痛の認められない症例があります。これは棘間靭帯や棘上靭帯の過伸展などに起因する損傷や炎症が推定されるので、これを「棘間型」といいます。
治療穴:陽関・十七椎

複合型およびその他の腰痛
これまでは鍼灸臨床における定型的なタイプの治療法について述べてきましたが、実際の臨床ではこれ以外にいろいろな形の複合タイプをみることが少なくありません。特に慢性化した腰痛では、症状も圧痛点の部位も一般に複合型の傾向を示します。
治療穴:L4椎間・L5椎間関節部・外関元兪・上殿・志室

医道の日本社 「鍼灸臨床医典」 間中善雄

多くは腎虚がある。風寒、湿邪をうけ、血行が停滞しておこる。
ぎっくり腰(挫閃)からの来る。西洋医学的にいえば脊柱の不整・内臓筋肉反射等から来るものが多いが、問題はその素因としての腎虚(疲労・過房・ストレス過剰等)である。

取穴
腎虚に対しては腎兪・次髎・委中。風寒湿邪に対しては、腎兪・腰兪・環跳人中・陰陵泉・陽陵泉。瘀血に対しては委中・大椎。うちみに対しては、支溝・陽陵泉・委中

医師薬出版株式会社 「神経ブロック・鍼療法」 細川豊史・石丸圭荘

椎間関節刺鍼
急激な動作による椎間関節に対する過負荷や椎間板の変性により椎体の固定性が脆弱化し、椎間関節部の変性を引き起こす。この椎間関節部には腰椎後枝内側枝の知覚枝が分布しており、椎間関節の痛みと反射性の臀部への放散痛を呈するのが特徴である。この椎間関節を支持する軟部組織を弛緩させる目的で刺鍼する。

適応
椎間関節性腰痛、筋・筋膜性腰痛

椎間関節刺鍼の実際
特徴的な所見は、捻転と後屈の制限を伴う痛みである。圧痛は下位腰椎部に集中し、棘突起の高さの外方約2㎝に深部痛が出現する。さらに、圧痛が確認できる棘突起の外2㎝から椎間関節に直刺で3~4㎝刺入する。また、疼痛が顕著な場合には椎間関節部上下端に鍼通電をおこなう。さらに、脊柱起立筋や腰方形筋に緊張、圧痛がある場合には合わせて刺鍼し、筋緊張を緩和させる。
※40㎜・16~20号鍼(鍼長40㎜・鍼径0.16~0.20㎜)

手技
刺鍼は腹臥位にて行い、置鍼する。雀啄は椎体の骨膜を刺激して痛みを誘発することがあるため注意が必要である。

中医古籍出版社 「火針」 劉保延

慢性腰痛
①寒湿腰痛:風府・腰陽関・夾脊穴・委中・環跳
②腎虚腰痛:腎兪・命門・志室・夾脊穴・阿是穴・委中・太谿・大椎
③腰肌労損:腎兪・委中・夾脊穴・阿是穴・腰陽関・関元・臍周四穴
④瘀血腰痛:阿是穴・委中・崑崙

急性腰痛
取穴:攅竹・人中・養老・腰腿点・後谿・局部阿是穴

参考資料:医道の日本社 「月刊医道の日本」 2009年10月号 西洋医学による腰痛治療 埼玉医科大学整形外科・脊椎外来 飯塚秀樹・高橋啓介